第1回京都映画サミット第二部 『憂国』その他
第一部に続き第二部を開催しました
今回はさらに間彩さんが参加
鑑賞映画ひとつめは「憂国」です
これは
三島由紀夫が自身の二・二六事件を題材にした短編小説(同名)を監督主演で映画化したもの
モノクロで全29分
武山信二中尉が麗子夫人と情を交わしたあと切腹するというだけの内容
[キャスト]
武山信二中尉(三島由紀夫)
武山麗子(鶴岡淑子)
[スタッフ]
製作:三島由紀夫
製作並びにプロダクション・マネージャー:藤井浩明
監督:三島由紀夫
演出:堂本正樹
脚色:三島由紀夫
原作:三島由紀夫
撮影:渡辺公夫
美術:三島由紀夫
メーキャップ・アーティスト:工藤貞夫
当時公開された後
ほぼ封印されていた映画であり
瑤子夫人が三島の死の直後1971年に、フィルムを焼却処分し、二度と見られない映画と思われていたが
実は
上映用フィルムは焼却処分したが、共同製作者藤井浩明の要望により、密かにネガフィルムのみは保存していたらしく
2005年8月、それまで現存しないと言われた「憂国」のネガフィルムが、三島の自宅(現在は長男平岡威一郎邸)で発見され
ついにDVD化されることとなったのである
さて鑑賞してみて
とりあえず思った
ある意味スゲー
独特の世界観であった
能を意識したとされるが
能との共通点は台詞がないことぐらいしか感じなかったし
どうも全てが見世物っぽい感じがした
ハラキリショー的な・・・
このあたり
たぶん三島の日本理解というものが
けっこう西洋人的勘違いサムライ美学だったところに起因するような気がする
刀を腹に当て切っていくところのクローズアップはなかなかのリアルさで
スプラッター度も高い
このあたりのこだわりみたいなものは感じるが
僕が気になったのは日本刀のちゃちさである
どうも刃がちゃちい
腹を切るシーンはニセモノで仕方ないとしても、少なくともそれまでは真剣を使ってほしかった
あと、この腹を切るシーンで何故か僕は「アンダルシアの犬」の眼球を剃刀で切るシーンを思い出した
三島が意識していたのかどうかはわからないけど
あっちも短編で白黒で無声で・・・と色々共通点はありそう
作品としては各段にあっちの方が上だけど
それと今回気になったのが
クロネコさんの「天皇の存在が欠片もないね」という言葉
確かに菊の御紋も、日の丸も、桜も何もない
背後には「至誠」という文字のみ
これは三島が2.26事件について昭和天皇をよく思っていなかったことに起因するのかもしれない
本来の切腹は責任をとっての公的行動であるはずなのだが
そこには公は一欠けらも存在せず
ひたすら私の美学で溢れていた
つまり自己陶酔
三島は切腹する自分というものに究極の美を見ていたのかもしれない
音楽も映画「Mishima」と共通する雰囲気があり、同じく浮いていた・・・(^_^;)
「Mishima」は「憂国」を参考にして音楽を作曲したのかもしれない
正直、評価のしにくい微妙な作品でしたが、三島のパワーや世界感みたいなものは感じられました
日本人は、とりあえず一度は見るべき映画ですね
そして色々考えてみましょう
そしてふたつめの映画は
「香港アクション映画の歴史」(アメリカ版)
ひたすら香港アクション映画を細切れ垂れ流しする映画
英語なので解説はさっぱりわからないが
日本未公開・未ソフト化の映画がたくさん出てきてなかなか面白かった
定番のブルースリーから始まって
ジミーウォン、ローリエ、デビットチャン、アンジェラマオ、サモハン
けっこう色々な人が出てきた
特に気になったのがショウブラザーズが作ったらしい
チャーリーズエンジェルもどきのカンフーもの
最近、ショウブラの作品はけっこうマイナーなものまでどんどんDVD化されているので、是非これも出してほしく思う
三つめに見たのは
「スウィッチブレード・シスターズ」
旧題「SEXY HARDBOILD/デッド・エンジェル」
監督: ジャック・ヒル
製作: ジョン・プライザー
製作総指揮: ジェフ・ビガン
脚本: ジャック・ヒル
F・X・メイアー
ジョン・プライザー
撮影: スティーヴン・M・カーツ
音楽: レス・バクスター
メデューサ
出演: ロビー・リー
ジョアンヌ・ネイル
モニカ・ゲイル
キティ・ブルース
アッシャー・ブラウナー
チェイス・ニューハート
マーレーン・クラーク
ジャニス・カーマン
ドン・スターク
不良少女の抗争モノ
ダブル主役的な二人の関係や展開が
かなり「女番長ゲリラ」等の東映女番長シリーズに似ている
女番長シリーズは1971年から始まっているので
1975年のこちらの方が影響を受けているのは間違いなく思う
世界の映画を色々見ていくと意外に日本映画って知らないところで世界に影響与えてる(パクられている)ので面白い
マシンガンまで出てきて銃器が豪華なのがアメリカっぽい
撃ち合いも派手
出演している女の子たちはどの娘もなかなかかわいいが、お色気は本家よりかなり少なめ
個人的にはアイパッチ娘が気にいっているが、最後まで生き残るもののめざましい活躍はない
タランティーノが発掘して97年になってやっと本邦初の劇場公開となった作品らしく
新版ビデオの本編の前と後に本人自ら解説として登場するらしい
現在DVDは出ていない
そして最後は
「ゴースト・イン・京都」
原題 THE HOUSE WHERE EVIL DWELLS
監督:ケヴィン・コナー
原作:ジェームズ・ハーディマン
出演:エドワード・アルバート
スーザン・ジョージ
ダグ・マクルーア
服部まこ
アメリカ人が作った怪談モノである
しかし予想に反して
始まると勘違い日本ではなく驚くほど日本描写が正しい
これは
東映京都撮影所と日本人スタッフを使って京都でロケしたということなので
日本人スタッフがかなりがんばったのだろう
冒頭の浮気している妻と男をぶった切るシーンは迫力満点
部屋に障子をブチ破って突入して来たのは少々気になったが
石井輝男ばりの首ぶっ飛びに
殺した後のハラキリ(また切腹・・・)
ツカミとしてはなかなかよかった
しかし、その後は・・・やはりアメリカ人
その惨殺が起こった家にアメリカ人家族がお引越し
「悪魔の棲む家」「ポルターガイスト」「シャイニング」等々
めちゃありがちな展開
しかも全く怖くねぇー
幽霊三人仲良くキャスパーみたいに出たり消えたり(なんで仲良くなってんだよ!)
電気がつけてもつけても消える(ドリフかー!)
子供が飲むスープの中に顔が浮び(バカっぽいー!)
沢蟹集団に襲われる子供(つくりものの蟹の動きがよくできている)
しかも
幽霊たちの仕掛けにより妻は浮気
ラストは夫と浮気相手のカンフーバトルに突入!
ついには日本刀を手にとり、チャンバラ
さぁ最後はどうなるんでしょう・・・秘密です(予想つくと思いますけど)
うーん
いやラストバトルもよかったですよ
スプラッター描写も
でもやっぱりバカ映画としか・・・
日本人スタッフはめちゃ気合入ってんのわかるんですけどね
アメリカ人がアホ過ぎでした
こんな感じで
第1回京都映画サミット第二部 終了です
次はいつになるかわかりませんが
随時参加者募集中です
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