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2010年9月23日 (木)

第1回京都映画サミット「Mishima」

クロネコさんが東京から来られて
昨夜
「第1回京都映画サミット第一部」を行いました

鑑賞映画は「mishima」です
Mishima

「Mishima: A Life In Four Chapters」は、日本とアメリカ合衆国の合作映画。三島由紀夫の人生を扱った伝記映画。
1985年にアメリカ合衆国などで公開されたが、現在も日本では未公開。制作は日本のフィルムリンク・インターナショナル、アメリカのアメリカン・ゾエトロープとルーカスフィルム。

三島由紀夫の人生を、『金閣寺』『鏡子の家』『奔馬』(『豊饒の海』第二部)の三つの三島文学を映像化したものと、三島が自決した『1970年11月25日』を描いたドキュメンタリー調のシークエンス、それに三島の半生をモノクロームで描いた『フラッシュバック(回想)』のシークエンスを加えた5部構成によって描かれる。

本国アメリカでは興行的に惨敗したものの、1985年度のカンヌ国際映画祭最優秀芸術貢献賞を受賞し各方面で絶賛された。当初日本でも『ミシマ 11月25日、快晴』の邦題で公開が予定されていたが、三島夫人の抗議等の諸事情により日本では劇場未公開、ビデオ・DVD化もされていないため「幻の作品」となっている。日本人俳優は日本語で演技をしているため、英語の字幕とロイ・シャイダーによるナレーションが要所に付いている。海外で発売されているDVDには、緒形拳による日本語のナレーションが収録されている。なお、最後の総監室の場面にて総監が「気が狂ったのか、きちがいじみてる」と言うシーンがあるため、万一日本でソフト化された場合もこのシーンを削除、または音消しなどの措置を取られる可能性がある。
wikiより

日本ではやや闇歴史化している三島由紀夫ですが、世界では非常に評価が高く、コッポラやルーカスという超有名人のプロデュースで「タクシードライバー」脚本や「アメリカン・ジゴロ」監督で有名なポールシュレイダーが監督し作られた三島由紀夫伝記映画です
日本では全く公開されたりDVD化される様子はないのですが、海外では評価が高く、何度もソフト化されています

今回鑑賞したのは米クライテリオン盤DVD
この会社は名作を品質にこだわり丁寧・真摯な作りで出すことで有名で
「旧盤は1.75:1だったのに対し、オリジナルの1.85:1での収録、さらに監督自らの監修により色彩修正やデジタル加工が加えられた。」
ということで
よりホンモノに近い雰囲気で見られるようになっているようである

俳優陣はめちゃめちゃ豪華でオール日本人
緒形拳、沢田研二、坂東八十助、永島敏行、佐藤浩市、萬田久子、烏丸せつ子、大谷直子、李麗仙、三上博史、横尾忠則、池部良、倉田保昭、等々
台詞もオール日本語で
今回のDVDには海外公開時のロイシャイダーのナレーションだけでなく緒方拳自身のナレーションver.も入っているので英語がわからなくても全く問題なく見れる

内容としては西洋人から見た三島像という感じで
いわゆる「ラストサムライ」的な扱いな感じがした
ただ
日本人からすると勘違い的な描写があり
うーん・・・と思うこともしばしば

美術は石岡瑛子という日本人が担当しているのだが
それがまた勘違い日本的でハリボテ・イミテーション的なのだ
これを本気でいいと思ってやっているとしたら日本人としてのセンスを疑うが

クロネコさんとの話の結果

これは三島自身を「勘違い日本・ハリボテイミテーション」として指摘するために石岡瑛子が意図して作った美術なのかも
だとしたらすげーという結論にたどり着きかけたが

映画自体は明らかに三島賛美映画で、少なくともポールシュレーダー監督はこの美術をすばらしいものとしてとらえているっぽいので
それは深読みし過ぎなのかもしれない

音楽は有名な作曲家、フィリップ・グラスによるものらしいが
正直、僕としてはやや浮いている感じがした
やはりここにも勘違い日本的イメージが・・・

また、見るとき英語字幕を出したまま見ていたのだが
「天皇陛下」をただ単に「emperor」と訳すのはいささか雑過ぎる気がした
「天皇」なら「emperor」でいいかもしれないが
「天皇陛下」はかなり違うニュアンスを含んでいると思う
クロネコさんとも意見があったが
ここはそのまま「tenno-heika」と訳すべきだっただろう

全体的に興味深く面白い映画だったが
これを見て三島由紀夫や武士道・切腹の本質だと勘違いされると困ったものだと思う
僕は三島作品を全く読んだことがなく、三島由紀夫の人生の概略を知っている程度だが
明らかに武士道や切腹、日本人の死生観を勘違いしている雰囲気が感じ取れた

日本人にしても、ある程度の知識を持って見ると
西洋人から見た三島由紀夫がよくわかって、さらに深く考えられるよい作品だが
予備知識なしに見ると危険かもしれない

クロネコさんによると
全共闘との対決シーンや自衛隊での割腹自殺シーンは実際の映像が残っているらしく
それと比べてかなりよくできている
らしい

しかし
見終わって
この映画が公開できないほどの問題があるとは思えない
三島由紀夫の家族が反対した原因という噂の同性愛的シーンは皆無で
(少年時代にキリストが処刑された絵に魅入るシーンはあるが)
基本的に三島肯定美化の方向性なので、右翼が反対する理由もなさげ
唯一考えられるのは
作中出て来る「びっこ」「どもり」「かたわ」「きちがい」等の差別的とされる言葉だが
昨今の「言葉狩りをやめて、当時のものは当時の価値観を尊重し、そのまま世に出そう」という流れの中
こちらも、そうたいした問題ではないと思う

「オーシャンズ」みたいな反日映画を文部省推薦にして、500円で全国の小学生に見せたり
「靖国」みたいな反日映画を税金で作ったりしているヒマがあるなら
さっさと普通に公開して欲しく思う

クロネコさんが三島由紀夫は漫画好き・軍服コスプレ・オタクで、サブカルチャーの走りみたいな人
と言ったが
全くその通りだと思った
漫画蔵書も多かったらしく、水木しげるや赤塚不二夫が好きだったようである
今生きていればアニメなんかも楽しんでいたのではないかと思う
制服も連邦軍の制服に変わっていたりして・・・

あのころはまだまだサブカルチャーが理解されておらず不遇の時代だったが
このサブカルチャーが主流になり日本を代表する文化になった今
三島由紀夫が生きていればどう思っただろう
生きていれば色々な面白い展開があったかもしれない

非常におしい人をなくしたものだとつくづく思う

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コメント

何はとまれ無事栄えある第一回目を
開けて良かったです。
明け方までお疲れ様でした(^^;)
   
>「タクシードライバー」
そうなんですかー
「タクシードライバー」は"良い"のにね。。(ーー;)
 
>米クライテリオン盤DVD
クライテリオン盤については
中原正也も「作業日誌」中でなかり
肯定的に言及されていたと思います。
今後の参考にします。
 
>美術は石岡瑛子
日本人だったのか!(@o@)
『あの甲冑』はありえないですよね(ーー;)
  
>音楽は有名な作曲家、フィリップ・グラスによるものらしいが
>正直、僕としてはやや浮いている感じがした
私はMISIMAの誤解全開全力疾走振りが良かったかなと
『あの鳥居』のシーンの映像と音楽のイカレっ振り&
洗脳丸出しっ振りはある種の三島の真実を突いていると思います。
珍訳が悲しいことに作者像の正鵠を射てしまった典型かなと。
 
>ここはそのまま「tenno-heika」と訳すべきだっただろう
「long life emperor」もないよなーですね(ーー;)
 
>サブカルチャーの走りみたいな人
多分、早晩"国内"においては「サブカルチャーの走り」で
決着すると思います。それを
「カレハニホンジンノココロソノモダバカモノ」とどこぞの
誰かが言うせう。。(-_-)
 
 
第二部(第一回本祭)楽しみです。
よろしくお願いします(^-^)

投稿: kuroneko | 2010年9月24日 (金) 午前 12時41分

>自衛隊での割腹自殺シーンは
>実際の映像が残っているらしく
この辺は詳しい方々は大変多いので
補足しておきます。
 
「割腹前の最後の演説シーン」は
残っていると思います。
割腹自殺シーンは当然ですが無いです。
割腹後の現場写真及び三島由紀夫
(本名:平岡公威)の遺体等はあります。
 
「Mishima」はつまるところ
平岡公威青年が「エルム街の悪夢」の
フレディに侵された悪夢というところ
でしょうか。三島由紀夫になる前の
平岡公威さんに「Mishima」を見せたい気は
します。笑って「誰だこの男?アリエネー」
と言うのではないでしょうか。

投稿: kuroneko | 2010年9月24日 (金) 午前 01時02分

>『あの甲冑』
甲冑とゆーか
剣道の防具と竹刀ですからね
あれを誇らしげに壁に飾るセンスが・・・

>「long life emperor」
ちなみにこれ
「天皇陛下万歳!!」\(~o~)/
の英語訳です

やはり万歳も「banzai」にしておくべきですね

>「カレハニホンジンノココロソノモダバカモノ」
いやいや
アニメ・漫画・浮世絵・春画・エロ・美少年・ロリ・グロ
これらのサブカルこそ日本人の心そのものかもですよ

>第二部(第一回本祭)楽しみです
明日、いや今日の晩八時~です
参加されたい方はご連絡下さるか、直接万物創造房へ
とりあえず三島監督主演の「憂国」見た後
マカロニウエスタンかカンフーものへ流れる予定です

>「エルム街の悪夢」のフレディに侵された悪夢
いまいち例えがわからないっす・・・(>_<)

僕は
ピンクレディーが引退するときの気持ちで自殺したのかなと思いました
下降する自分は見たくないと・・・

投稿: 万物創造房店主 | 2010年9月24日 (金) 午前 02時19分

>いまいち例えがわからないっす
いや、夢の中にいつも出てくる
ハラキリ(切腹じゃなくて)する奇妙な
中年男が実は自分だった。みたいな
・・・(^^;)
ご本人の監督作品もまたごっつ
"もの凄かった"っすねー
「どっちがポールシュレーダーの作品やろ。。(ーー;)」
感が素晴らしい!
 
今から京都を発ちます。
店主さん、Mr.Leeさん、
ありがとうござました!!
第二回・三回映画サミットを楽しみにしています(^-^)

投稿: kuroneko | 2010年9月26日 (日) 午前 04時37分

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